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パチパチパンチのお菓子の正体は?系譜と今を解説

男性が口を開け、舌の上にカラフルなパチパチキャンディが乗っており、そこから電光と水しぶきのようなエフェクトが表現されている。パチパチするお菓子の刺激を視覚化したイメージ。

口に入れた瞬間、パチパチと弾けるあの刺激的なお菓子。私も子どもの頃、「ドンパッチ」の強烈な刺激に驚き、友達と口の中で我慢比べをした懐かしい記憶があります。「あの不思議な食感の正体は何?」「大好きだった『わたパチ』はもう買えないの?」と、ふと気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、あのパチパチ感の秘密である「炭酸ガス」の仕組みから、昭和の伝説「ドンパッチ」、そして現在の定番「パチパチパニック」へと続く、パチパチ系お菓子の系譜を詳しく掘り下げて解説します。

「ドンパッチとパチパチパニックの意外な関係性」や、「わたパチはなぜ販売終了したのか?」、そして「パチパチパニックは今どこで買えるのか?」といった皆様の疑問にもしっかりお答えします。懐かしい記憶の答え合わせをしてみませんか。

この記事のポイント
  • パチパチ弾けるお菓子の仕組みが分かる
  • ドンパッチやわたパチなど懐かしいお菓子との関係性が分かる
  • 現在の定番「パチパチパニック」の購入場所が分かる
  • パチパチ系お菓子の歴史と進化の全体像が分かる
目次

パチパチパンチのお菓子の正体とは?

口の中で弾けるキャンディが、炭酸ガスを放出してパチパチする様子を表現したイメージ。指先に乗ったカラフルなキャンディから電光が走り、水滴が飛び散っている。
  • 口に入れるとパチパチするお菓子は?
  • パチパチするお菓子の正体は何ですか?
  • 高圧炭酸ガスを封入する製造方法

口に入れるとパチパチするお菓子は?

「パチパチパンチのお菓子」というキーワードで検索される方が思い浮かべるのは、口の中でキャンディが弾ける、あの独特な食感を持つお菓子のことでしょう。この斬新な体験を提供してきた代表的な商品が、日本にはいくつか存在します。

例えば、昭和の時代に子どもたちの間で爆発的なブームを巻き起こした「ドンパッチ」(明治製菓)が挙げられます。また、ふわふわの綿菓子の中からパチパチと弾けるキャンディが出てくる「わたパチ」(同じく明治製菓)も、そのユニークな組み合わせで強い印象を残しました。これらのお菓子は、従来の「甘い」「美味しい」といった味覚だけでなく、「楽しい」「驚く」といったエンターテイメント性を持ち込み、多くの子どもの心を掴みました。

そして現在、その「パチパチするお菓子」のジャンルを牽引し、定番商品として確固たる地位を築いているのが「パチパチパニック」(アトリオン製菓)です。スーパーマーケットや100円均一ショップなどで手軽に購入でき、懐かしさを感じる大人から、新鮮な驚きを感じる子どもまで、幅広い層に愛され続けています。

パチパチするお菓子の正体は何ですか?

白衣を着た技術者が、工場で高圧炭酸ガスをキャンディ原料に封入する特殊な製造装置を操作している様子。透明な釜の中で液体が泡立っている。

あの不思議で刺激的なパチパチ感の正体は、「炭酸ガス(二酸化炭素)」です。非常に安全な物質であり、食品衛生法においても既存添加物として使用が認められています。(参照:日本食品化学研究振興財団「食品添加物リスト」※炭酸ガスは二酸化炭素として記載)

キャンディを製造する過程で、目に見えないほど細かく、かつ高い圧力をかけた炭酸ガスが、溶けた飴の中に強制的に封じ込められています。この状態のままキャンディが冷やされ固まると、ガスは飴の中に閉じ込められたままになります。

そして、そのお菓子を口に入れると、唾液の水分によって周りの飴がゆっくりと溶け始めます。飴が溶けて薄くなっていくと、内部に圧縮されて閉じ込められていた炭酸ガスの圧力に、飴の壁が耐えきれなくなります。その結果、ガスが一気に外に放出しようと弾け、この無数の微細な破裂が、私たちの舌や口の中で「パチパチ」という独特の刺激的な感覚と音を生み出しているのです。

安全な物理現象です

例えるなら、高圧で炭酸ガスが溶け込んでいる炭酸飲料のフタを開けた瞬間、圧力が解放されて泡(炭酸ガス)が一気に噴き出す現象と似ています。それが口の中の非常に小さなスケールで、飴が溶けるたびに連続して起こっているイメージです。

パッケージに「勢いよくはじけることがあります」といった注意書きが見られますが、これは主に小さなお子様が不意の刺激に驚かないように促すものであり、仕組み自体に危険性があるわけではありません。

パチパチするキャンディの製造は、家庭では絶対に真似のできない、非常に高度な技術と専門的な設備を必要とします。

製造工程の核心部分は、「安全性を確保した耐圧性のある特殊な製造釜」の使用にあります。まず、キャンディの原料(砂糖や水あめなど)を熱して液状にします。次に、この特殊な釜の中で、液状のキャンディに高圧の炭酸ガスを加えながら撹拌(かくはん)します。この圧力をかけたままの状態でキャンディを冷却して固めることで、初めて炭酸ガスが内部に封じ込められた「パチパチキャンディ」の原型が完成します。

製造の難易度と参入障壁

この「高圧ガスをキャンディに封じ込める」という工程は、極めて高い技術的ハードルと多額の設備投資を必要とします。耐圧設備を安全に運用・保守管理するノウハウも不可欠です。

そのため、他社が容易に模倣したり新規参入したりすることが困難な分野となっています。情報によれば、現在日本国内でこのパチパチキャンディを商業的に製造しているのは、アトリオン製菓(旧:明治産業)のみとされています。この独自の技術こそが、同社の強力な競争力の源泉となっているのです。

パチパチパンチのお菓子の系譜と現在

スーパーマーケットの菓子売り場で、ドンパッチ、わたパチ、そして現在の主力商品であるパチパチパニックの様々な味が陳列されている。驚いた表情の若い男性が商品を見ている。
  • パチパチ パンチ お菓子 昭和の記憶
  • 伝説のドンパッチというお菓子
  • パチパチ お菓子 わたあめタイプとは
  • わたパチは販売終了ですか?
  • 後継?パチパチパニックというお菓子
  • ドンパッチとパチパチパニックの関連性
  • パチパチパニック現在はどこで買えますか?
  • パチパチパンチのお菓子の今とこれから

パチパチ パンチのお菓子:昭和の記憶

昔ながらの駄菓子屋で、様々な駄菓子が並ぶ棚から「ドンパッチ」らしきお菓子を手に取って懐かしむ中年の男性。昭和の雰囲気が漂う店内で笑顔を見せている。

パチパチ弾けるお菓子が日本の子どもたちを熱狂させた背景には、1970年代後半から1980年代にかけての、ユニークな駄菓子文化の全盛期があります。

当時の駄菓子屋やスーパーのお菓子売り場は、まさにアイデアの宝庫でした。クラシエフーズの「ねるねるねるね」に代表されるような、粉と水を混ぜて色が変わったり膨らんだりする「化学実験」のようなプロセス自体を楽しむお菓子が人気を博しました。

その中で登場した「口の中で弾ける」という今までにない刺激的な食感は、子どもたちの好奇心を強く刺激しました。味だけでなく「体験」を提供するという点で、これらのお菓子は共通しており、昭和の子ども文化を語る上で欠かせない存在として、多くの人の記憶に鮮烈に残っているのです。

伝説のドンパッチというお菓子

昭和のパチパチ系お菓子ブームの火付け役であり、象徴的な存在と言えるのが、明治製菓(現:株式会社 明治)から1979年(昭和54年)頃に発売された「ドンパッチ」です。

オレンジ味やグレープ味、コーラ味などがあり、小さな粒状のキャンディが袋に入っていました。その最大の特徴は、ネーミングの通り「ドン!」と音がするような、他の類似品と比べても際立って激しい弾け方でした。この強烈な刺激が子どもたちに衝撃を与え、テレビCMなどの効果も相まって爆発的な人気商品となりました。

遠足のおやつの定番として持っていく子どもも多く、「口の中でどれだけ我慢できるか」といった遊びも流行するなど、単なるお菓子を超えたコミュニケーションツールとしても機能していました。

ドンパッチは現在、製造・販売を終了しています

非常に残念なことですが、あれほど絶大な人気を誇ったドンパッチも、時代の流れとともに市場から姿を消し、現在は製造も販売もされていません。今となっては「昭和の懐かしのお菓子」として、当時の子どもたちがその思い出を語り継ぐ、伝説的な存在となっています。

パチパチのお菓子:わたあめタイプとは

ドンパッチのブームに続き、同じく明治製菓から1988年(昭和63年)に発売され、人気を博したのが「わたパチ」です。

このお菓子は、ドンパッチとは異なるアプローチで「パチパチ」体験を進化させました。その名の通り、製品の大部分が「わたあめ」で構成されており、その中に「パチパチするキャンディ」の粒が混ぜ込まれているという画期的なハイブリッド商品でした。

口に入れた瞬間は、わたあめ特有の「ふわっ」とした甘さが広がり、それが唾液で溶けて消えていくと同時に、中に隠れていたキャンディが時間差で「パチパチ」と弾け出すという、二段階の食感(テクスチャー)の変化が最大の魅力でした。グレープ味やコーラ味などがあり、わたあめの甘さと弾ける刺激の意外なコントラストが、多くの子どもたちを再び虜にしました。

わたパチは販売終了ですか?

結論から申し上げますと、ドンパッチと同様に「わたパチ」も2016年(平成28年)頃に生産を終了しており、現在は残念ながら購入することができません。

販売元であった株式会社明治からは、生産終了の明確な理由は公式に発表されていません。ただ、一般的にロングセラー商品であっても、生産終了に至る背景には複合的な要因が存在します。

一般的な生産終了の理由

  • 原材料やエネルギー価格の高騰: 昨今の世界的な情勢不安などにより、砂糖や水あめ、包装資材、工場を稼働させるエネルギーコストなどが高騰し、従来の価格維持が困難になるケース。
  • 消費者の嗜好の変化: 子どものお菓子に対する好みが時代と共に変化し、売上が徐々に低下していくケース。
  • 製造設備の老朽化: 特殊な製造ラインの場合、その設備が老朽化した際に、多額の費用をかけて更新するほどの採算が見込めないと判断されるケース。

インターネット上では「死亡事故が原因では?」といった根拠のない噂が見られることもありますが、こんにゃくゼリーの窒息事故のように社会問題として公に報道された事実は一切ありません。安全性に問題があったというよりは、前述のような原材料費の高騰や、明治グループ全体の経営戦略の中での「選択と集中」といった、経営的な判断によるものと考えるのが妥当でしょう。

後継?パチパチパニックというお菓子

ドンパッチやわたパチといった昭和・平成の人気商品が市場から姿を消した後も、「あのパチパチする食感を味わいたい」という消費者の根強いニーズは残り続けました。その需要の受け皿となり、現在の定番商品として人気を集めているのが、アトリオン製菓株式会社(旧:明治産業株式会社)が製造・販売する「パチパチパニック」です。

この商品の歴史は意外と古く、1999年(平成11年)に前身となる「シュワシュワパンチ」という名前で発売されました。その後、社内アンケートや小学生へのヒアリングを経て、より弾ける楽しさが伝わる「パチパチパニック」という名称に変更され、2007年(平成19年)から現在のブランド名で展開されています。

ドンパッチやわたパチの直接的な「後継商品」として開発されたわけではありませんが、パチパチするキャンディに「ラムネ菓子」を組み合わせるという独自の工夫が施されており、パチパチ感とシュワシュワ感の両方が同時に楽しめるのが大きな特徴です。結果として、パチパチ系お菓子の系譜を受け継ぐ、現代の代表的な商品と言えるでしょう。

「パチパチパニック」は、定番のコーラ味、グレープ味、ソーダ味の3種類に加え、2024年にはメロンソーダ味が加わるなど、現在も進化を続けています。アレンジレシピとして、ヨーグルトやアイスクリームにかける食べ方もSNSで話題になりました。

商品名主な特徴製造元(当時)現在の状況
ドンパッチ弾けるキャンディのみ。刺激が強め。明治製菓(現:明治)生産・販売終了
わたパチわたあめと弾けるキャンディの組み合わせ。明治製菓(現:明治)生産・販売終了
パチパチパニック弾けるキャンディとラムネの組み合わせ。アトリオン製菓(旧 明治産業)現行商品

ドンパッチとパチパチパニックの関連性

「ドンパッチ」と「パチパチパニック」は、前述の通り製造元が異なり、ブランドとしての直接的な繋がりや事業継承の関係はありません。しかし、両者の誕生の背景を深く掘り下げると、「明治グループ」という共通のルーツが浮かび上がってきます。

直接のブランド継承はない

まず前提として、この2つは法律上も事業上も完全に独立した商品です。

  • ドンパッチ: 明治製菓(2011年以降は「株式会社 明治」の食品事業)が製造・販売。
  • パチパチパニック: アトリオン製菓(2023年までは「明治産業」)が製造・販売。

消費者の間では「ドンパッチが名前を変えてパチパチパニックになった」と誤解されることもありますが、これは事実ではありません。

技術と「明治」というルーツ

ここからが非常に興味深い点です。「パチパチパニック」を製造するアトリオン製菓は、その前身である「明治産業株式会社」として、もともと明治製菓(ドンパッチの製造元)の子会社として設立された経緯があります。

つまり、ドンパッチを製造していた「明治製菓(親会社)」と、パチパチパニックの製造技術(高圧キャンディ技術)を1970年代から培ってきた「明治産業(子会社)」は、同じ明治グループに属していたのです。

このことから、パチパチ弾けるキャンディの核となる「高圧キャンディの製造技術」は、1970年代の同時期に、この明治グループ周辺で(あるいは共同で)開発・蓄積されてきたと考えるのが自然です。

結論:直接の血縁はないが、技術のルーツを共有する「遠い親戚」

ブランドや商品は異なりますが、両者を生み出した核心技術の背景には「明治」という共通の系譜が存在すると言えるでしょう。親会社の商品(ドンパッチ)が市場から姿を消した後、同じグループの技術を受け継ぐ子会社の商品(パチパチパニック)が、結果としてその人気と市場を受け継ぐ形になったのは、非常に興味深い巡り合わせです。

※なお、明治産業株式会社は、2023年3月31日付でその全株式が株式会社明治から丸紅株式会社へ譲渡され、丸紅グループの一員となりました。(出典:丸紅株式会社 ニュースリリース 2023年3月31日
これに伴い、2023年10月1日付で社名を「アトリオン製菓株式会社」に変更しています。

パチパチパニック現在はどこで買えますか?

現在、パチパチパニックを最も手軽に購入できる場所は、全国のスーパーマーケットのお菓子売り場や、100円均一ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)です。

特に100円均一ショップは、アトリオン製菓(旧明治産業)にとっても主要な販路となっており、「3個で100円(税別)」といったお得な価格設定で販売されていることが多く、消費者との最大の接点となっています。この販路の拡大が、近年の売上急成長を支える大きな要因の一つとされています。

そのほか、昔ながらの駄菓子屋や、一部のコンビニエンスストア、ドラッグストアのお菓子コーナーでも取り扱いがある場合があります。

もし近所のお店で見つからない場合や、特定(例えばメロンソーダ味)を探している場合は、Amazonや楽天市場、LOHACOといったオンラインストアでの購入が確実です。これらのサイトでは、20個入りや40個入りなどの「箱買い(まとめ買い)」が主流となります。

パチパチパンチのお菓子の今とこれから

  • パチパチ弾けるお菓子の正体は高圧で封入された炭酸ガス
  • 唾液で飴が溶けることでガスが放出され弾ける仕組み
  • この製造には耐圧性のある特殊な高圧設備が必要不可欠
  • 昭和のパチパチ系お菓子の代表格は明治製菓のドンパッチ
  • ドンパッチは1979年頃に登場し強烈な刺激で人気を博した
  • ドンパッチは現在販売を終了しており入手は不可能
  • わたパチは綿菓子とキャンディを組み合わせたハイブリッド菓子
  • わたパチも2016年頃に生産を終了している
  • 現在のパチパチ系お菓子の主流はパチパチパニック
  • パチパチパニックはアトリオン製菓(旧明治産業)が製造
  • 明治産業はもともと明治製菓の子会社であった
  • ドンパッチとパチパチパニックに直接のブランド継承はない
  • ただし両者は明治グループという技術的なルーツを共有する
  • パチパチパニックはスーパーや100円均一ショップで買える
  • パチパチパニックはここ10年で売上が10倍になる急成長を遂げている
  • SKE48とのコラボなどSNSを活用したマーケティングも実施
  • 2023年に明治グループから丸紅グループへ移籍
  • 経営体制の変更により開発力や営業力の強化が図られている
  • 需要拡大に応え2024年春に生産能力を2.5倍に増強
  • 今後は売上高20億円を目指し長期的には海外展開も視野に入れている
男性が口を開け、舌の上にカラフルなパチパチキャンディが乗っており、そこから電光と水しぶきのようなエフェクトが表現されている。パチパチするお菓子の刺激を視覚化したイメージ。

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